歯科医師と同窓会
歯科医師として歯科医療に従事し、19年になる。卒業直後は治療に迷うことや悩むことはよくあった。その後少しずつ経験を重ね、なんとなく自分の形ができてきた気がする。若い頃は患者の疾病除去、健康増進に寄与しようと必死で、患者のパーソナリティや生活習慣、歯に対する価値観も人それぞれであるということになかなか気づけずにいた。「人には相応しい贈り物を」。医局員時代にお世話になった恩師、坂下教授の言葉である。この言葉の意味が理解できたのはずいぶん経ってからである。
私は今まで多くの先生にお世話になってきた。学生時代はもちろん、医局員時代、開業してからも同窓生はもちろん他大学の先生にも本当に助けられてきた。他の学部は卒業後さまざまな職種につくのと違い、歯学部は同じ歯科医師として働くことが多い。さらに医療は常に知識や技術の研鑽に努めなければならない。そのためには歯科医師同士の交流や連携は歯科医療を行う上で欠かせないのである。
同窓会は同窓の先生の交流、連携を強固にする親睦団体である。これから歯科医師を目指す在学生にも覚えておいてほしいことであるが、私たち卒業生は同じ同窓生というだけでお互いに力になれる。この同窓会がその橋渡しの役目になるよう努力し、そして今後もそうであってほしいと願っている。
厚澤賢洋